沖縄県における「第九」演奏の歴史
2001年1月現在
年 月日 演奏会 1980
(S55)12/3 「第九演奏会」(那覇市民会館、沖縄第九実行委員会主催、通称沖縄ジァンジァン第九)
指揮/儀部寛
演奏/特別編成オーケストラ
曲目/ベートーベン:交響曲第9番合唱付き
ソロ/S:本宮寛子、A:群愛子、T:平良栄一、Br:宮城敏
合唱/特別編成合唱団1982
(S57)3/17,18 「第九」演奏会(17日那覇市民会館、18日沖縄市民会館、主催沖縄タイムス)
指揮/黒岩英臣
演奏/桐朋学園音楽大学オーケストラ
曲目/ベートーベン:交響曲第9番合唱付き
ソロ/S:嶺井恵子、A:春日成子、T:平良栄一、Br:宮城敏
合唱/那覇混声、沖縄中央混声、沖縄男性、城岳混声、首里コールフロイデ、琉大音楽科1983
(S58)4/16,17 「第九」演奏会(16日那覇市民会館、17日沖縄市民会館、主催沖縄タイムス)(沖縄タイムス創立35周年記念)
指揮/黒岩英臣
演奏/九州交響楽団
ソロ/S:曽我栄子、A:木村宏子、T:泉恵得、Br:芳野靖夫
合唱/那覇混声、沖縄中央混声、沖縄男性、首里コールフロイデ、琉大音楽科〃 12/23,24 歳末助け合いチャリティー「第九」特別演奏会(23日那覇市民会館、24日沖縄市民会館、主催同実行委員会、通称高江洲音楽事務所第九)
指揮/小泉和裕
演奏/新日本フィルハーモニー交響楽団
ソロ/S:比嘉悦子、A:木村宏子、T:泉恵得、Br:平野忠彦
合唱/一般募集による第九合唱団1986
(S61)1/18 琉球大学フィルハーモニー管弦楽団第10回定期演奏会(那覇市民会館大ホール)
指揮/糸数 武博
曲目/シベリウス:交響詩「フィンランディア」
ベートーベン:交響曲第9番合唱付き
ソロ/S:嶺井 恵子、A:兼嶋麗子、T:泉 恵得、Br:宮城敏
合唱/琉大第9合唱団、沖縄中央混声合唱団、混声合唱団フォンターナ、首里コールフロイデ、沖縄男声合唱団、浦添高校合唱部、一般公募1987
(S62)
11/29 沖縄交響楽団「第九」演奏会(第30回記念定期演奏会)
(沖縄コンベンションセンター展示棟)
指揮/富原守哉
曲目/ベートーベン:序曲「レオノーレ第3番」
ベートーベン:交響曲第9番合唱付き
ソロ/S:嶺井恵子、A:兼嶋麗子、T:泉恵得、Br:宮城敏
合唱/第九合唱団1988
(S63)
12/3
,4沖縄交響楽団「第九」演奏会(3日沖縄市民会館、4日那覇市民会館、沖縄テレビ開局30周年、瑞穂140周年記念演奏会、通称OTV第九)
指揮/糸数武博
曲目/バッハ:無伴奏バイオリンのためのパルティータ第3番より(糸数武博編曲)
ベートーベン:交響曲第9番合唱付き
ソロ/S:田港昇子、A:兼嶋麗子、T:泉恵得、B:伊江朝明
合唱/第九合唱団1989
(H1)11/16 沖縄交響楽団「第九」演奏会(第33回定期演奏会)(沖縄市民会館、主催OTV、協賛KDD)
指揮/富原守哉
曲目/ベートーベン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調合唱付き
ソロ/S:田港昇子、A:兼島麗子、T:稲田浩、B:伊江朝明
合唱/一般公募による「第九合唱団」(協力:沖縄中央混声合唱団、混声合唱団フォンターナ、沖縄男声合唱団)1990
(H2)11/24,25 沖縄交響楽団「第九」演奏会(24日沖縄市民会館、25日那覇市民会館、主催OTV、協賛KDD)
指揮/糸数武博
曲目/ベートーベン:「コリオラン」序曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調合唱付き
ソロ/S:佐久田藤子、A:兼島麗子、T:有銘哲也、B:山田健
合唱/一般公募による「第九合唱団」(協力:沖縄中央混声合唱団、那覇混声合唱団、那覇高校合唱部)12/13 興南高校オーケストラ第九演奏会(那覇市民会館)
指揮/上原謙
演奏/興南高校オーケストラ及び同校音楽科講師
曲目/ベートーベン:交響曲第9番ニ短調合唱付き
ソロ/S:玻名城律子、A:兼嶋麗子、T:久場政勝、Br:知花賢昭
合唱/興南高校特進クラス、同校音楽科講師、那覇高校合唱部1991
(H3)11/29,30 沖縄交響楽団「第九」演奏会(沖縄市・那覇市)
「第九」演奏会(29日沖縄市民会館、30日那覇市民会館、主催OTV、協賛KDD)
指揮/中村ユリ
曲目/ベートーベン:交響曲第9番ニ短調合唱付き
ソロ/S:田港昇子、A:兼島麗子、T:平良栄一、Br:翁長剛
合唱/一般公募による「第九合唱団」1992
(H4)11/21 沖縄交響楽団「第九」演奏会(沖縄コンベンションセンター、主催OTV、協賛KDD)
指揮/糸数武博
曲目/ベートーベン:「コリオラン」序曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調合唱付き
ソロ/S:久根次清子、A:新城杏子、T:久場政勝、B:伊江朝明
合唱/一般公募による「第九合唱団」1993
(H5)11/28 沖縄交響楽団「第九」演奏会(沖縄コンベンションセンター、主催OTV、協賛KDD)
指揮/富原守哉
曲目/ベートーベン:交響曲第9番ニ短調合唱付き
ソロ/S:久保田久美子、A:兼島麗子、T:泉恵得、Br:翁長剛
合唱/一般公募による「第九合唱団」1994
(H6)11/23 沖縄交響楽団「第九」演奏会(沖縄コンベンションセンター、主催OTV、協賛KDD)
指揮/小泉ひろし
曲目/ワーグナー:歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調合唱付き
ソロ/S:古謝美奈子、A:兼島麗子、T:泉恵得、Br:翁長剛
合唱/一般公募による「第九合唱団」1995
(H7)11/22 沖縄交響楽団「第九」演奏会(沖縄コンベンションセンター劇場、主催OTV、協賛KDD)
指揮/糸数武博
曲目/バーバー:「弦楽の為のアダージョ」作品11
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調合唱付き
ソロ/S:玻名城律子、A:磯野啓子、T:井上靖、Br:小池哲央
合唱/一般公募による「第九合唱団」1998
(H10)11/1 沖縄交響楽団「第九」演奏会(沖縄タイムス社創刊50周年記念)
(那覇市民会館:入場者1198人)
指揮/糸数武博
曲目/シャブリエ:管弦楽のための狂詩曲「スペイン」
ベートーベン:交響曲第9番合唱付き
ソロ/S:安座間和美、A:渡久地利江子、T:吉田一正、B:伊江朝明
合唱/沖縄中央混声合唱団、那覇混声合唱団
城岳混声合唱団、沖縄男声合唱団、琉球大学医学部
混声合唱団、琉球大学教育学部音楽科〃 11/8 「第九コンサートin宮古島」(うえのドイツ文化村・キンダー広場、主催上野村)
指揮/糸数武博
管弦楽/沖縄交響楽団
曲目/シャブリエ:管弦楽のための狂詩曲「スペイン」他
ベートーベン:交響曲第9番合唱付き第4楽章
ソロ/S:山本多鶴子、A:兼嶋麗子、T:本村陽一、B:伊江朝明
合唱/ドイツ村「第九」合唱団1999
(H11)9/19 第4回具志川音楽祭「第九」演奏会(具志川市民芸術劇場、主催/第4回具志川音楽祭実行委員会・具志川市教育委員会)
指揮/堤俊作
管弦楽/沖縄交響楽団
曲目/ベルディ:歌劇「ジャンヌ・ダルク」序曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調合唱付き
ソロ/S:山本多鶴子、A:兼嶋麗子、T:本村陽一、B:伊江朝明
合唱:沖縄第九合唱団(具志川音楽祭合唱団他)〃
10/3 国際音楽の日記念「第九」演奏会(那覇市民会館、主催/文化庁、沖縄県、沖縄県教育委員会、那覇市、沖縄交響楽団第九演奏会実行委員会、沖縄交響楽団)
指揮/堤俊作
管弦楽/沖縄交響楽団
曲目/ ベルディ:歌劇「ジャンヌ・ダルク」序曲
ベートーベン:交響曲第9番ニ短調合唱付き
ソロ/ S:山本多鶴子、A:兼嶋麗子、T:本村陽一、B:伊江朝明
合唱:沖縄第九合唱団(具志川音楽祭合唱団他)〃
10/30 沖縄県立芸術大学第10回洋楽定期公演「第九」演奏会(かでな文化センター)
指揮/三石精一
管弦楽/沖縄県立芸術大学オーケストラ
曲目/ ベートーベン:交響曲第9番ニ短調合唱付き
ソロ/S:国吉典子、MS:松田あけみ、T:古橋郷平、Br:前川佳央
合唱:県立芸術大学学生、中央混声合唱団、沖縄男声合唱団〃
12/25 名護市市制施行30周年記念「第九」演奏会(名護市民会館、主催/名護市ほか)
指揮/三石精一
管弦楽/沖縄県立芸術大学オーケストラ
曲目/ ベートーベン:交響曲第9番ニ短調合唱付き2000
(H12)10/15 第5回具志川音楽祭「第九演奏会」(具志川市民芸術劇場、主催/第5回具志川音楽祭実行委員会ほか)
指揮/糸数武博ほか
曲目/第1部:具志川ジュニアコーラス
第2部
ベートーベン:交響曲第9番合唱付き
ソロ/S:古謝奈美子、A:兼島麗子、T:泉恵得、B:伊江朝明
合唱/具志川音楽祭合唱団2001
(H13)1/21 第28回沖縄市民コンサート(沖縄市民会館、主催/沖縄市・琉球朝日放送・沖縄タイムス社)
指揮/マレク・セヴェン
管弦楽/ワルシャワ交響楽団
曲目/ドボルザーク:交響曲第9番「新世界より」
ベートーベン:交響曲第9番合唱付き
ソロ/S:カタッチーナ・トレイニック、MS:マグダレーナ・イデック
T:ピィオトール・ラファルイコ、Br:ヤロスラフ・ブリジリク
合唱/ヴァルソヴィア聖歌隊、沖縄第九合唱団
解説:
沖縄県における「第九」の初演は、1980年(昭和55年)の「第九」(通称「沖縄ジァンジァン第九」)です。沖縄ジァンジァンは、つい最近まで那覇市内の国際通り三越付近にあった小ホールで、その当時は県内のクラシック演奏に適した小ホールが無かったため、リサイタルや室内楽、小オペラなどによく利用されたホールでした。
このときの「第九」は沖縄ジァンジァンに集まる県内・外の音楽家によって発案され、沖縄ジァンジァンが事務局を引き受ける形で実現したものだと思います。しかし、演奏者が県内外からの寄せ集めだったことや、初めての「第九」だったことから、いろいろトラブルがあり、初演という意義はあったものの、残念ながら県内音楽界からはあまり評価されなかったと思います。
次に、沖縄タイムス主催による82年(昭和57年)、83年(昭和58年)の「第九」です。これは、初演の反省をふまえ、プロあるいは芸大のオーケストラを招き、合唱は県内の合唱団を起用したものです。この「第九」はなぜかあえて演奏時期を3月・4月にしてあります。「第九」=年末というイメージから抜け出て、純粋に音楽を聴かせようということだったのでしょう。あるいは、12月には県内ではメサイア演奏会という大きな演奏会があり、合唱団が競合したので時期をずらしたのかもしれません。
そして、次に上とはまったく別のこれまたあまりにも「第九」らしいのが、同じ83年12月の「高江洲音楽事務所第九」です。歳末助け合いチャリティーと銘打ち、クリスマスの直前という時期に行われました。この83年は、年に2回も「第九」があった年で、今年(99年)と同じように、「第九」の当たり年だったといえましょう。この年までを「第九」演奏の第1期とする見方もできるかもしれません。
その後しばらく「第九」は演奏されず、次に演奏されたのは、なんといきなり大学オーケストラによる「第九」でした。1986年(昭和61年)の「琉球大学バロックオーケストラ」(現:琉球大学フィルハーモニー管弦楽団)第10回定期演奏会の「第九」です。この演奏会は、指揮・演奏・独唱・合唱のすべてを県内でまかなった初めての「第九」として、大変画期的な演奏会です。
それを実現させたのは、当時このオケを指揮していた糸数武博氏の実行力でした。この演奏会には、エキストラとして沖響のメンバーも相当参加しました(筆者もその1人)。この経験が、次の年の沖響あるいはその後の「第九」へと生かされていくのです。学生オケが「第九」を演奏したことは、恐らく当時の沖響のリーダーたちに大変な衝撃を与えたことでしょう。第1期の「第九」ブームでは出番の無かった沖響は、満を持して自分たちの出番を待っていたと思います。
ところが、いきなり学生オケが「第九」をやってしまい、県内演奏家による「第九」の初演という名誉を持ってかれてしまったのです。そこで、あわてたというわけでもないでしょうが、次の87年(昭和62年)、とうとう沖響も「第九」を演奏します。ちょうど定期演奏会30回記念として大々的に沖響の「第九」初演を行ったのです。この演奏会は、なんと沖縄コンベンションセンターの展示棟で行われました。その当時まだ劇場棟はできておらず、1カ所で多くの聴衆を集めることができるのは、そこしかなかったからです。このねらいは見事に成功し、入場者数は2500人以上だったと思います。コンベンションセンターへの道路が大渋滞を起こしたという裏話があります。実は展示棟の音響が最悪だったので、演奏としては?だったかもしれませんが、「第九」という曲の持つ集客力がもっとも顕著に現れた演奏会だったことは間違いなく、イベントとしては大成功だったといえます。
そして、琉大バロックオケの「第九」と沖響の「第九」初演の2年間は、県内での「第九」演奏の定着化と言う意味だけでなく、県内で「第九」のような大きな演奏会を行うことが可能だということを完全に証明したことで一つの時期を画しています。つまり、プロのオーケストラを招聘するという費用のかかる方式をとらなくても、いろいろな音楽行事が企画できることが明らかになったため、その後しばらく続くオペラブームや沖響のいろいろな演奏会へと続いて行くわけです。
話を「第九」に戻します。時代は、折しもあの「バブル」の絶頂期にさしかかる頃、沖響「第九」初演の成功は、その翌年1988年(昭和63年)から95年(平成7年)まで8年間続いた沖響・沖縄テレビ放送・KDDの3者による「OTV第九」へとつながっていきます。
この「第九」の特徴はスポンサーにKDD、イベント企画・実行に沖縄テレビ(以下OTV)という強力なチームができあがったことでした。合唱団は公募という形をとり、足りない面は県内合唱団の協力を得るという形式も参加型のイベントとして理想的でした。
沖響のもう一つの目玉であるメサイア演奏会とのからみで、演奏時期は11月下旬に設定せざるを得ませんでしたが、那覇市・沖縄市での2回公演をしばらく行うなど、沖縄における定番音楽行事の一つになりました。
しかし、さしもの3者協力チームもやはりバブル崩壊後の不景気には勝てません、強力スポンサーの撤退により、ついに95年を最後にこの「第九」は終了しました。なお、1990年12月には、興南高校の音楽科学生と講師を中心にした興南高校第九演奏会が開催されています。
2年間のブランクののち、「第九」演奏会はまた復活しました。98年(平成10年)の沖響「第九」演奏会です。しかし、今回の「第九」は今までの「第九」とはまた少し違うような気がします。まだそういうのは早いかもしれませんが、その特徴は「地域型」とでもいえましょうか。つまり、各地域における音楽行事としての「第九」が出てきたのです。
その兆しは98年(平成10年)の「第九コンサートin宮古島」(上野村主催、「第九」は4楽章のみ演奏)です。そして今年は我が沖響が具志川市、県立芸大オーケストラが嘉手納町で、「第九」演奏会を行います。いろいろな理由が考えられますが、各地域における音楽文化が如実に向上していることや、「第九」演奏が参加型のイベントであることから地域の音楽文化を高める方法としてとてもよい手法であること、各地域に音響のよいホールが建設されたことなどが挙げられると思います。
さて、とりとめもなく沖縄県内における「第九」演奏会の歩みを振り返ってみましたが、いかがでしたでしょうか。こうやって振り返ってみると「第九」というのはその地域の音楽文化のバロメーターといえるのかなという気がします。
上の表は、沖縄県内における「第九」の演奏の記録です。沖響の演奏した「第九」とその他の「第九」は色分けしました。解説は、1999年当時のものです。表は 2001年1月現在に訂正してあります。
各演奏会の内容については、極力正確を期していますが、すでに初演から20年近く経過しており、新聞記事から抜き出したものがほとんどです。もし間違いがありましたらご指摘ください。
また、文中判断・意見に属するものはHP管理人(金城)個人のものでありますので、その旨ご了承ください。
この表及び文の内容を使用及び引用する場合は、必ず管理人まで連絡ください。